Piece -本郷・湯島をかたち創る人・場所を訪ねて-

“知りたい”人と“知ってほしい”人が集う場所「ファロ大學」

「あ。これちょっと好き」

と思ったことはあるだろうか。

この“好き”はちょっとでいい?

「あ~それ、名前だけは聞いたことがある」

名前だけ聞いたことがあるそれ、もっと知ってみたくはない?

「初心者にはハードルが高い世界なのかな?」

未知の世界に尻込みして諦めてしまったことは?

きっと大なり小なり誰しも思ったことがあるだろう、これらのセリフ。

でも、これって全部“きっかけ”ではないだろうか。

何かを知るきっかけ。

きっかけって、きっと新しい扉を開ける鍵なのかもしれない。

扉の向こうに“知りたい”が待っているかもしれないのに、扉を開けないのはもったいない。

“知りたい”人がいるのと逆に、どこかに“知ってほしい”人もいるのかもしれない。

「こんなにおもしろいこと、たくさんの人に知ってほしい!」

「好きな人が増えたらもっと楽しそう!」

きっとそう思っている人がいる。

誰かが扉を開けてやってくるのを、そわそわしながら待っているかもしれない。

“知りたい”人と、“知ってほしい”人。

でも、お互いを隔てている扉を開くのって難しい。

どこの扉を開いたらいいのか、そもそも扉を開くきっかけがわからない…。

そんな方々にぜひご紹介したい扉がある。

本郷三丁目駅から程近く、歴史あるビルの2F「珈琲 FARO」で開催されている「ファロ大學」。

“知りたい”人と、“知ってほしい”が繋がれる学びの場。

今回、ファロ大學を運営している珈琲FAR0のオーナー大谷さんにお話を伺った。

(珈琲FAROについては こちら

ファロ大學とは

2022年に開校し“知りたい”“知ってほしい”を繋げ、学ぶことを目的としたカルチャースポットである。

開校以来、さまざまな講演や体験ワークショップなどを行ってきた。

大学講義のように内容ごとに学部が分けられ「教養学部」「芸術学部」「人間科学部」「音楽学部」などがある。

学部というと難しく思うかもしれないが、専門的ながらもとっつきやすく楽しめるように構成されており、超初心者から玄人まで多くの人に開かれた内容となっている。

例えば「教養学部」では、松の香りの中でサウナの本場フィンランドのサウナ文化について学べる回や、蜂蜜から作られる最古のお酒MEADについてテイスティングを兼ねながら学べる回があった。

また過去の「芸術学部」では機織り機を実際に使ってコースターを編んでみる回、「ラフからフィニッシュまで」をテーマに、主に映像制作やグラフィックデザインなどクリエイティブな仕事で活躍されている方を講師に招き、構想段階から完成までを見せていただける回があるなど、「え?それ何?気になる!」的なちょっと面白そうな内容が目白押し。

あまり他では学べない内容だということもあり、初心者さんも多い。もちろん既にその道に詳しいという方も、マニアックな意見交換ができる同じ趣味の仲間が見つかるかも!

(ファロ大學のスケジュールと内容はWEBサイトへ)

珈琲FAROでファロ大學を開校したきっかけ

珈琲FAROはもうすぐ開店7年を迎えようとしている。昭和初期に建てられたという歴史を感じられる空間で、街の喧騒から離れ落ち着いたコーヒータイムが味わえる、と地元でも人気の店である。お昼時には近隣のビジネスマンなどもランチに足を運ぶ。

確かに店内は開放的で広く、人が集まるにはもってこいの場所に思う。しかしなぜここを学びの場にすることにしたのだろうか。

「きっかけはお客様からいただいた声だったんです。」と大谷さん。「ここで何か学べるような企画をしてほしい」とリクエストされたそうだ。

それ以前からミニライブや蚤の市など度々イベントを開催していたそうだが、珈琲FAROにやってきたひとりの“知りたい”人の一言で“学び”の場作りへと動き出した大谷さん。

彼女はそのきっかけとなる場所づくりをしているのだ。

また、文京区という土地柄、教育機関が多いのもあり、元々“知りたい”“学びたい”と思う人が多い傾向があることもファロ大學を開校する後押しになったそうだ。

あまり難しく考えず知ることを楽しむことが日常になっていると、知るきっかけを見つけるのも上手くなりそう。ファロ大學もきっとそういった学びの場になるのではないだろうか。

“知ってほしい”人との繋がり

今まで開催してきた講座内容からお分かりいただけるように、ファロ大學で講師を務める方々は分野も仕事も趣味も様々。

どういった経緯でファロ大學で教えることになったのだろうか。また、全く違う分野の講師陣と大谷さんはどうやって出会っているのだろうか。

実は珈琲FAROのオーナー大谷さんはデザイン会社でグラフィックデザイナーとしての経験がある。その頃から付き合いがあった方や、趣味のサウナ好きが高じて繋がった方などもいるそう。

また、講師を務めた方が他の企画の講師になる方を紹介するなど、ファロ大學の多岐にわたる講座内容を支える講師陣とはたくさんの“縁”によって繋がっているようだ。

本郷三丁目にはファロ大學というおもしろい場所があることを伝えたくて、今回この記事を書いてみた。筆者自身も実際ファロ大學に度々参加させていただいている。

参加したのは芸術学部の「ラフからフィニッシュまで」。実際に活躍されている著名なイラストレーターが講師を務めた回では、Illustrator(Adobe社のデザインツール)の完成データを分解したり、フリーハンドでイラストを描く工程を見せていただいたりして、他では見ることができないレアな体験になった。「あの商品パッケージのイラストってこうなってたの!?」という驚きと新しい発見でワクワクしっぱなし。

また、別の回では某雑誌の編集長が講師を務め、雑誌作りやロケハン、撮影、写真を通してモデルや商品を魅せるための裏技、雑誌企画連動の映像制作に関することなど目から鱗の連続で、自分で知ろうと思っても知り得ないことがたくさんあった。

ものづくりも好きなので、クラフト系の講座にもいずれ参加したいと思う。

珈琲FAROがある本郷三丁目には丸ノ内線と大江戸線の駅があり都内各所からのアクセスも良いため、地元以外からファロ大學へ参加されている方も多い印象だった。

講座後に講師や参加者同士の意見交換やコミュニケーションを取るにも珈琲FAROが大活躍。講座参加者にはドリンク付きなのもうれしい。

「みんなの縁でできているファロ大學。縁あって本郷三丁目に開校したので(東京大学を始め)地域に縁のある人たちにも、もっと気軽に参加してもらえるとうれしい。」と大谷さんは語ってくれた。

ファロ大學はこれからもおもしろい講座が企画されているようだ。きっと「知れてよかった!」と思える何かとの出会いがあるだろう。

今後、ファロ大學が“知りたい”人たちと“知ってほしい”人たちを繋げるカルチャーのターミナル的スポットとして、本郷の街が盛り上がっていくと思うと夢が広がる。

“知りたい”と思っている方はファロ大學を要チェック!

ファロ大學】

〒113-0033 東京都文京区本郷2-39-7 エチソウビル 204


【珈琲 FARO】

珈琲FAROへはこの階段より2Fへ