印刷業界ってワンだふる

紙は生き物なんです。 ― 枚葉機と輪転機 編 ―

〇〇は生き物なんです。

「パンは生き物なんです」とか「味噌は生き物なんです」とかよく耳にします。

あれかっこいいなって思うんです。

〇〇の部分を大事にしている感じがして、一度は使ってみたいフレーズです。

実は、紙は生き物なんです。

いきなり使ってみましたが、生き物は言い過ぎました。

でも紙も生きているんです。

表紙から本文がはみ出しているパンフレットとか雑誌を見たことがないでしょうか。

オフセット印刷は大きく分けて2種類あります

⚫︎枚葉(平版)印刷:平らな1枚ずつの用紙で印刷します。
⚫︎輪転印刷:トイレットペーパーみたいなロールになっている用紙で印刷します。

 

枚葉機は印刷終了後、インクを乾かすため半日から一日置いて自然乾燥させ、次工程へ回されます。
(「UVオフセット印刷」という速乾性のある印刷方法もあります)

輪転機は新聞や折込みチラシなど大量な印刷物を高速で印刷し、折加工までされて出てきます。高速で印刷しすぐに加工を行うので、印刷工程中に紙に熱風を当てて強制的にインクを乾かしています。

表紙から本文がはみ出すのは、本文を輪転機、表紙を枚葉機で印刷・加工した場合に起こる現象です。

輪転機で印刷された本文の紙は、水分が抜けて乾燥シイタケのようにカラッカラで紙が縮んでいます。

枚葉機で印刷された表紙の紙は適度に潤っています。

製本加工に回され表紙で本文をくるむ、クルミ製本された冊子。最後に綺麗に整えるために天(上)・地(下)・小口(ページを開く方)の三方を仕上げ断裁します。

せっかく仕上げ断裁で綺麗に整えたのに、時間がたつと輪転機で印刷されたカラッカラの本文の紙が空気中の水分をたっぷり吸い始めます。潤いを取り戻した本文の紙は伸びます。

逆に枚葉機で印刷された表紙は、適度な潤いキープしたままなので伸びることはほぼありません。

結果、水分を吸って伸びた本文が表紙からはみ出すという現象が起きてしまいます。

印刷業界あるある_枚葉機と輪転機

「表紙から本文がはみ出したパンフレットが納品されたんですけど」

もしお客様からクレームを言われたら…
一度は使いたいフレーズを使うチャンス。

「そりゃそうですよ。紙は生き物なんです。」

「はぁ!?」

「え…あ、いや、その…実は紙は…かくかくしかじかで…」

そりゃそうですよ。怒られますよ。

使ってみたいフレーズなんてものは使いにくいフレーズである場合が多く、使い方を間違えたら火に油を注ぐだけです。

お客様へは印刷をする前にきちんと懸念される事象を説明して、納得いただいてから進行するのが無難です。

IT村(とんとくる編集)
気が付けば20数年、どっぷり印刷業界に浸かっていました。
印刷業界の裏側を知ってもらって、印刷って素晴らしい。
って思ってもらえたら幸いです。

江戸クリエート株式会社
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