100g以内といわれて、140円がぱっと頭に浮かんだ方はお仲間かもしれませんね。

定形外郵便の費用を決める重量計測はシビアな世界で、
50gか50.1gかで120円が140円になり。
100gか100.1gかで140円が210円に、急に70円も増える。

0.1gを境にガラリと世界が変わってしまうのだ。

1通なら、たかが70円の差額も、
100通になれば7,000円。
1,000通になれば70,000円。
10,000通になれば700,000円、の差額が生じる。
100gで郵送費用を計算していた郵送物が100gを超すと…
通数が増えたら増えただけ損害が大きくなる。

クライアントから
「顧客に向けて送付状と申込書とパンフレットが入ったDMを送りたい。100g以内に抑えたい。」
と依頼を受けたとします。
まずは使う用紙1枚の重さを計算して、1通の大体のグラムを出すことから始めます。

A4(297mm×210mm)用紙1枚
70kgベース(コピー用紙に近い厚み)=約5.1g
90kgベース(それよりちょっと厚い)=約6.5g
110kgベース(さらにちょっと厚い)=約8.0g


グラム×使う枚数で重さを計算する。
kg(連量)・・・紙の厚さの単位の一つ。紙の指示をする際に使われがち。
〇〇紙の70kgで印刷お願いします。という具合。
kg=全版(大きな)紙を1,000枚集めた時の重さ。詳しくは別の機会に。

計算上100gギリギリになった場合は、使用する用紙を仕上りサイズにカットして現物に近い状態で何グラムになるのかを量り、100gを超えるようだったら用紙やサイズの変更を提案し、100g以内に調整します。

20年くらい前に勤務していた会社での思い出。

ちゃんと計算したはずなのに印刷が上がってきたらなぜか100gを超えている。
なんど量っても100gを超してしまう。
なぜだ。
計算上は余裕で100gを下回っていたはずだ。
送付状が約5.1g、申込書が約13g、パンフレットが20ページ(用紙10枚)約65g。
3点足して余裕で100g以内のはずだ。
それと封筒が17.3gで・・・封筒!
封筒を計算に入れるのを忘れていた。
凡ミス。

まずい。

なんとか100g以内にしなくては。

印刷は全部終わっている。
刷り直ししている時間はない。

しょうがない、奥の手を使おう。
パンフレットを少し、ほんの少し切ってしまおう。
2mm、このくらいならバレないだろう。
天(上)1mm、地(下)1mmずつならデザインに影響もなさそうだし。
パンフレットを小さくすれば…
ほら、100g以内になった。
よし!!

「よし!!じゃないだろ!」
もちろん上司に
勝手にパンフレットを小さくするわけにはいかない。
と怒られ。
クライアントに報告と対応方法の交渉へ向かう。

解決方法は郵送費用の差額を持つこと。
それはわかっているが、かわいい金額ではない。

許されるのであればパンフレットを切りたい。
パンフレットを小さくさせてもらえれば、100g以内になるんです。
なんとかパンフレットを切らせてもらえないでしょうか、神様。

2mmを境にガラリと世界が変わってしまうのだ。

パンフレットを切らせてください。
パンフレットを切らせてください。
どうか頼みます!
神社でお祈りしてからいざクライアントへ。

今となっては懐かしい思い出。
そんな0.1gをめぐる戦いが今日もどこかで行われているのだろうか。

IT村(とんとくる編集)
気が付けば20数年、
どっぷり印刷業界に浸かっていました。
印刷業界の裏側を知ってもらって、
印刷って素晴らしい。
って思ってもらえたら幸いです。

江戸クリエート株式会社
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