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商品化の期待が高まる受賞作品の数々/第11回シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション

去る10月12日に第11回シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティションの受賞作品が発表された。同コンペティションは1999年から10回にわたり開催され、休止期間をはさみ10年ぶりに再開したプロダクトデザインのコンペティション。主催は一般社団法人未来ものづくり振興会。

第11回のテーマは「しるしの価値」で718点の過去最高の応募作品が集まった。
喜多俊之氏(プロダクトデザイナー)、後藤陽次郎氏(デザインプロデューサー)、中村勇吾氏(インターフェースデザイナー)、原研哉氏(グラフィックデザイナー)、深澤直人氏(プロダクトデザイナー)の5名の審査員と、岩渕貞哉氏(美術出版編集長)、舟橋正剛氏(一般社団法人 未来ものづくり振興会 代表理事・シヤチハタ株式会社 代表取締役社長)の特別審査員を加えた計7名での厳正な審査により11点の受賞作品が決定した。
受賞作品は商品化も検討されるわけだが、その期待が高まる受賞作品の一部を紹介する。

グランプリ

自己QR/清水邦重
QRコードを読み取ることで自己PRができる印鑑。自分のホームページやSNSのサイトなど好きな内容を表示できるアプリを開発することで、ダウンロード後に印影にスマホをかざしてその情報が見ることができる。

(深澤審査員評)
「デジタルだが判子の印面に似ているQRコードの特徴に着眼した力作。デジタルとアナログがうまく融合している」

 

準グランプリ

世界にただひとつの印鑑/明間大樹
一人ひとり異なる握り方の違いを印鑑に刻み込む仕組みの提案。3Dスキャナーと加工機器を組み合わせ、材質も樹脂や木材、金属などから選択し、自分だけの印鑑をつくることができる。

(中村審査員評)
「大事な印鑑を、自分の持ち方の癖をかたどり、自分だけの特別なものに仕上げていくところに魅力を感じた。デジタル・ファブリケーションを活かした、今の時代らしいアイデア」

 

準グランプリ

AIR SIGN/青柳祥生
文字を「空で書く」電子サインデバイス。空間上に書かれたサイン軌道の座標やストロークの速度を読み取る機能を搭載。平面の動きに奥行きが加わるぶん複雑な軌道になり、さらに指紋認証機能も付加することで、偽装や模倣のリスクが減りサインの真正性が高まる。

(原審査員評)
「空中で文字を書き、三次元のものとして記録に残すという着想がユニーク。特にひらがなのように曲線でできた文字が、形として新しいシグネチャーになるのは面白いと思う」

 

審査員賞 喜多賞

イニシャル三文判/堀川卓哉
外国人には名前を表す簡易印鑑や認印がなく、日本での生活で不自由を強いられていることに着想を得た。イニシャルであれば外国人でも印鑑で表すことができる。アルファベット26字 × 26字 = 676種類であらゆる名前に対応。

(喜多審査員評)
「西洋でも印鑑文化が普及する可能性を秘めた提案。676種類すべてを試作したことも説得力につながった」

 

審査員賞 後藤賞

印星(いんしょう)/佐々木晴美・坂口杏奈
星のような形状の6つの飛び出した部分に、それぞれ違うデザインの名前が刻まれた判子。同じ名前でも、TPOや気分に合わせて好きな印象のものを選んで押すことで、「こうありたい」と思う自分を印すことができる。

(後藤審査員評)
「楽しく使えて、しかも機能的。フォルムも美しい。プレーン、シンプル、ユースフルの三拍子揃った作品」

 

自分であることの「しるし」、それを表現するさまざまなカタチ。
「しるしの価値」を改めて考えさせられたとともに、この先の「しるし」のあり方に大いに興味が沸いてきた。

 

その他の受賞作品など詳細については公式サイト(https://sndc.design)より